前回の記事では、GPT-5のアップデートによる性格変化や性能評価について取り上げました。
今回はその続編として、実際の業務利用を想定し、裁判資料用の断面図からアイソメ図を生成する実験を行いました。
背景
境界線や構造物の位置関係を説明する裁判資料では、平面図や断面図だけでは理解しづらい場合があります。
そのため、法廷や交渉の場では立体的なイメージ図(アイソメ図)が効果的です。
しかし、従来は専門ソフトや手描きで時間をかけて作成する必要がありました。
実験内容
- 元データ:ブロック塀の断面図(N様邸改修前、東側)
- 目的:法的資料に耐えうる精度で、ブロック数や寸法を正確に反映したアイソメ図を作成
- 使用モデル:GPT-5(画像生成機能)
生成結果
以下がGPT-5で生成したアイソメ図です。

良かった点
- 短時間(数十秒)で立体イメージを作成
- 断面図に基づく大まかな形状や基礎の表現は明瞭
- 寸法表示や注釈もある程度反映可能
課題点
- ブロック段数の正確性が不足(元図面と一致しない)
- 細部の寸法やプロポーションがずれる場合がある
- 法廷資料に使用するには人間による修正が必須
ベクターデータ化の課題と方法
今回生成した画像はPNG形式のラスター画像であり、直接SVGやAI形式のベクターデータとして出力することはできません。
そのため、法廷資料やCAD編集用に利用するには、以下のいずれかの方法でベクタ化する必要があります。
1. Adobe Illustratorでトレース
- 生成画像を読み込み、「画像トレース」で線画化
- しきい値やパス数を調整して精度を確保
- AI/EPS/SVG形式で保存可能
2. Inkscape(無料)で変換
- PNGを読み込み、「パス」→「ビットマップをトレース」でベクタ化
- SVG形式で保存可能
- Illustratorがない場合の代替手段
3. CADや3Dソフトで再作図
- 元の断面図の寸法をCAD(AutoCAD、Fusion 360など)やSketchUpでモデリング
- そこからアイソメ図をSVGやDXF形式で書き出す
- 精度重視の裁判資料では最も確実
総評
GPT-5は一次資料の補助イメージ作成には非常に有効ですが、最終版としての精度確保には人のチェックが不可欠という結論になりました。
さらに、正式な裁判資料やCAD編集に使うには、ベクターデータ化の工程が必要です。
当社ではベクターデータで作成し、納品します
当社では、Adobe Illustrator(イラレ)での正確なベクターデータ化にも対応しており、AI/EPS/SVG形式での納品が可能です。