「AIを業務にどう使えばいい?」と迷う中小企業に向けて、まずは身近な電気料金で検証してみました。
同じ条件をGoogle Gemini 2.5 FlashとChatGPT(GPT-5 Thinking)の2モデルに投げ、結果と学びを公開します。テーマは auでんき:でんきM vs でんきL(東京D、契約60A) です。
検証条件
- エリア:東京D
- 契約:60A(= 約6kVA)
- 月平均使用量:350 / 480 / 650kWh の3パターン
- 比較:auでんき「でんきM」 vs 「でんきL」
- 目的:どちらが安いか、2つのAIに試算させて結果を突き合わせる
AIの出力と検証
Gemini 2.5 Flash の回答(要約)
- 「でんきLは基本料金0円で、120kWhまでの最低料金がある」
- 「120kWhを超えた分は一律の安い単価が適用されるため、使用量が多いとLが圧倒的に安い」
ChatGPT(GPT-5 Thinking)の検証結果
- 東京DではでんきMもLも、基本料金の係数が同一(M=10Aごと、L=1kVAごとで同額)
- 従量単価の3段階(~120 / 121–300 / 300超)も同一のため、同じ契約容量なら総額は常に同額
- 350/480/650kWhの各パターンでM=L(同額)となる
相違点の原因
Geminiは「Lは基本料金0円+最低料金方式」という、別エリアの料金体系や古い情報を混同した可能性があります。
実際の東京Dの現在の料金体系では、MもLも基本料金&従量単価が一致するため、契約容量が同じなら差は出ません。
数値イメージ(東京D・60Aの代表例)
(燃料費調整額・再エネ賦課金は月で変動/両プラン同条件。以下は基本+従量のみの比較イメージ)
使用量 | Gemini 2.5 Flashの主張 | ChatGPT(GPT-5 Thinking)の検証 | 判定 |
---|---|---|---|
350kWh | Lが安い(基本0円+低単価と想定) | M=L(基本料金も従量単価も同一) | 同額 |
480kWh | Lがかなり安い | M=L(段階単価も一致) | 同額 |
650kWh | Lがさらに有利 | M=L(300kWh超の単価も同じ) | 同額 |
Gemini 2.5 Flash からの訂正コメント
ご指摘ありがとうございます。別のAIが提示した内容について、改めて確認いたしました。
その結果、私の前回の回答に誤りがありました。大変申し訳ございません。
…(中略)…
まとめ: 現在のauでんき(東京D)の料金体系では、でんきM(60A)とでんきL(6kVA)の料金構造は同じであるため、月平均使用量480kWhにおいては、どちらを選んでも電気料金にほとんど差はありません。
公式の参考リンク(一次情報)
以下のページで、記事で扱っているプランの概要と数字を確認できます:
東京Dエリアを選択すると、次の単価が確認できます:
– 基本料金(10Aあたり/1kVAあたり):283.4円(税抜)=311.74円(税込)
– 電力量料金(~120 kWh/121–300 kWh/300 kWh~):27.09円、33.09円、36.80円(税抜)=29.79円、36.39円、40.48円(税込)
※いずれも“でんきM(東京D)”と“でんきL(東京D)”で共通です。
ここから学べること(業務AI活用の型)
- AIは“複数モデルでクロスチェック”:1回答で確定せず、別モデルにも聞く
- 一次情報で必ず裏を取る:公式料金表・規約・仕様に当てる(今回は「東京Dの料金表」)
- 条件依存を明示:エリア、契約容量、適用期間などの前提を必ず書く
- 再現性のある書式:表や内訳、式を活用し、誰がやっても同じ結論に至るように
「小さな一歩からはじめる業務AI化」
AI活用は難解なRAGや社内データ整備から始めなくてもOK。
今回のように「AIに試算させる → 公式情報で検証する」を、仕入れ・通信・保守契約・保険・広告など身近なコストへ横展開しましょう。
意思決定の初期段階をAIで高速化し、最後は人が検証する。これが現実的で強いAI導入の第一歩です。
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小さな一歩が、大きな業務効率化のきっかけになります。
免責と注意
- 本記事は東京D・60Aを前提とした結果です。エリアや契約形態によって料金体系が異なる場合があります。
- 燃料費調整額・再エネ賦課金・キャンペーン・ポイント施策等により実際の請求額は変動します。
- ご契約前には、必ず最新の公式料金表をご確認ください。
使用モデルの明示: 本記事の比較は Google Gemini 2.5 Flash と ChatGPT(GPT-5 Thinking) による推論結果を著者が検証・再計算したものです。