赤いザクのアクションポーズ

赤いザクのアクションポーズ。左右の写真とイラストレーターのイラスト2カットを白背景で並べた画像

写真から描き起こしたイラスト制作の記録

今回ご紹介するのは、実際に撮影したプラモデルの写真をもとに、デジタルで描き起こしたイラスト制作の事例です。左側がもとの写真、右側が完成したイラストで、同じポーズ・構図で比較できるように仕上げました。

実物をベースに描くというアプローチ

このような「写真をベースにしたイラスト制作」は、ゼロから描くのとは異なる工程が求められます。特に意識したのは、実物の立体感や質感をどこまでイラストで再現・強調するかという点です。

まずはラフスケッチからスタート

制作の第一歩として、写真を見ながらラフスケッチを描き起こしました。構図やパーツのバランスは写真に忠実に保ちつつ、イラストとして見栄えのするラインに整理しています。プラモデル特有のジョイントやモールドなど、実物にしかないディテールも、描きすぎるとごちゃついて見えるため、あえて線を省略したり強調したりといった「整理」が重要でした。

光と影を忠実に再現する

今回のイラストでは、光と影の表現もできるだけ実物に近づけることを意識しました。写真では光源の位置や素材の反射によって自然な陰影が生まれていますが、イラストでもそれを忠実に再現するように描いています。光の方向を写真に合わせ、影の入り方やグラデーションの濃淡を細かく観察しながら仕上げました。

特に、武器や装甲部分の金属表現にはこだわり、反射やテカリ、マットな質感の違いが出るようにレイヤーを分けて描画しています。単にスタイライズされた描写ではなく、実際の素材感や立体感を伝える“技術検証”としてのイラストに仕上げることが今回の目的でした。

背景と輪郭線の工夫

さらに、背景や輪郭線も調整しました。写真の背景がリアルである分、イラストでは背景をシンプルにし、キャラクターのシルエットが際立つように構成しています。輪郭線は一部を太めにして立体感を出し、色の境界も整理された印象になるように工夫しました。

写真を“なぞる”だけではない楽しさ

このように、写真をベースにしたイラスト制作は、ただ「なぞる」のではなく、どこを忠実に再現し、どこを簡略化・強調するかの判断が重要です。実物の良さを活かしながら、デジタルならではの見せ方に変換するプロセスは、とてもやりがいのある作業でした。

まとめ:実物とデジタルの融合へ

今後もこのような「実物 × デジタル」のハイブリッド表現に挑戦していきたいと考えています。