【第1回】社内Webデザイナーが描いた越境資料──不動産トラブルを解決に導いた図とは?

「裁判所に提出する立体図を用意してください。」

その一言から、すべては始まりました。

このブログは、筆者自身が2年以上にわたって向き合った不動産の越境トラブルと、それを乗り越えるために行った実体験の記録です。私は法律の専門家でもなく、測量や建築の知識があるわけでもありません。ただ、マイホームの土地問題を解決したい一心で、調査・交渉・証拠収集に奔走する日々が続きました。

とりわけ印象的だったのは、「越境の平面図と写真だけではわからない」と裁判官から言われたあの日のことです。

私の方でも測量会社・施工会社に相談をしましたが、「裁判用の図面は作れない」と断られてしまいました。資料として出せるのは現場写真や測量図まで──それが限界でした。

そこで私は、苦肉の策として社内のデザイナーに相談し、「テクニカルイラスト(アイソメ図)」を使った立体図を作成してもらいました。CADでも3Dでもなく、あくまで目視でわかるような“立体的な平面表現”。専門用語では「アイソメトリック図法」と呼ばれる描き方です。

見る人の理解を助けることを第一に、境界線の傾斜や、越境の具体的な位置をひと目で把握できるよう、斜め上から見下ろす構図です。

社内のWebデザイナーに「裁判用の資料を作ってほしい」と頼むことにも最初は戸惑いがありました。でも、「図で見せればきっと伝わる」という確信があったのです。

結果的にこの図が裁判でも採用され、相手側・裁判所・弁護士にも状況が正確に伝わる決定打になりました。

本シリーズでは、以下のようなテーマを順にお届けする予定です:

  • 境界杭と越境ブロックの問題がどう発覚したか
  • 組合・隣地所有者とのやり取り
  • 測量会社や施工会社が対応を断った理由
  • テクニカルイラストの使い方
  • 裁判での戦略と勝利までのプロセス

この話は単なる“ご近所トラブル”ではありません。「図で説明する力」がいかに現実を動かすか──その一端がこの記録から伝われば幸いです。

次回は、きっかけとなった組合職員の訪問と、最初に交わされたやり取りからご紹介します。


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