Illustratorで描いたザクII、ついに完成版を公開

Adobe Illustratorで制作した、ヒートホークを構えた赤いザクIIの完成版イラスト。以前公開した制作途中版をさらにブラッシュアップし、ディテールや陰影を強化した最終形

トップでご覧いただいたザクII完成版は、Adobe Illustratorを使って長時間かけて仕上げた最終形です。今回は、その完成版に至る前段階である制作途中版をご紹介します。完成版と見比べることで、どのように描き込みや調整が進化したのかがより明確になります。

制作途中版の状態

赤いザクのアクションポーズ。左右の写真とイラストレーターのイラスト2カットを白背景で並べた画像
制作途中のザクIIイラスト

この段階では大まかな形状やポーズは固まっていましたが、細部の描き込みや陰影の整理、金属感の表現はまだ不十分でした。モノアイや動力パイプのディテールも仮の状態で、装甲の光沢感や立体感は完成版に比べて控えめです。また、光源の方向が統一されておらず、部分的に陰影が甘い箇所もありました。

制作背景とツールの活用

このイラストは、もともと写真をベースにIllustratorで実物に近い仕上がりを目指したものです。制作途中版の段階では、パスツールで基本形状を正確に描き起こし、各パーツをレイヤーで管理していました。これにより、後の工程で個別の修正や色変更がスムーズに行えるように構造を整えています。また、装甲のエッジやパネルラインはペンツールで描き込み、精度を高めるためにスナップ機能も活用しました。

完成版へのブラッシュアップポイント

完成版では、この途中版を土台として以下の改良を行いました。

  • 光源を統一し、陰影の境界をシャープに修正
  • モノアイや装甲のディテールを精密化
  • 装甲の金属感をグラデーションメッシュと透明度調整で強化
  • 彩度・明度を調整して画面映えを向上

特にグラデーションメッシュの設定は時間がかかる工程でした。影の入り方やハイライトの位置を何度も試行し、実物の金属表面に近い質感を再現しています。

制作で苦労した点

一番の課題は、リアルさと見やすさのバランスです。細かすぎる描写は情報量が多くなりすぎるため、一部のモールドやラインは省略しつつ、重要な部分はむしろ強調しました。また、色調整では公式設定色を基準にしながら、モニター表示での発色を考慮して微調整を繰り返しました。

まとめ

こうして途中版から完成版へと進化させる過程で、Illustratorのベクターデータの強みを最大限に活かすことができました。途中版の段階から完成版までの違いを見比べることで、仕上げ工程の重要性や細部調整の積み重ねによる完成度の向上を感じていただけるはずです。今後もこうしたBefore / After形式で制作過程を発信し、制作の魅力をより多くの方に伝えていきたいと思います。